新しいモノに人々が興味を示すのは極めて自然なことでしょう。クルーズの場合も同じです。新造船それも処女航海はすぐに完売してしまう場合もあります。しかしながら年代物の赤ワイン風に良い味を出して乗客を魅了する客船も存在するのです。その典型的な例が飛鳥Ⅱ(郵船クルーズ)だといえます。
2025年7月の飛鳥Ⅲ就航で、正式に「お姉さん」になった本船には、どんな魅力があるでしょうか。
乗りやすい「安心価格」に

新しい飛鳥Ⅲは人気ですから売り手市場になってそれなりにクルーズ料金が設定されているようです。
それに比べると、飛鳥Ⅱは同様のキャビンで日数が同じでも割安になっているのが分かります。これはグッド・ニュースだと思いませんか。こんな方々にお勧めできます。
クルーズしてみたいという夢をもっている人
約5万トン、乗客数872名。日本最大の客船はクルーズデビュー向きの最適なサイズです。日本の港から乗船できるのも嬉しいですね。
外国船しか乗ったことがない人
上記写真のような本格的な和食が楽しめ展望風呂も無料なのは、日本船籍の客船だから。全室が海側でバスタブ付きなので日本人にピッタリ。
クルーズで親孝行したい人
公室のトイレや大浴場スパには杖を置くホルダーが用意されています。また船内には至る所に手摺りがあるので安心です。夜の素晴らしいショータイムも楽しんでいただきましょう。
ショートクルーズが多く、発着地も豊富

本船の世界一周クルーズは2025年で終了して次年度から飛鳥Ⅲが後を引き継ぐことになりました。
2025年10月から26年1月迄のスケジュールを見ますとワンナイトから3日間などの短い日程がたくさん予定されています。例を挙げてみましょう。
2025年10月11日から3日間、神戸発着
秋の連休クルーズ
2025年11月3日から2日間、博多発着
博多・佐世保ワンナイトクルーズ
おひとりF旅(Fステート客室お一人様代金お得)
2025年12月13日から3日間、大阪発着
クリスマスウイークエンドクルーズ
2026年1月7日から3日間、東京発着
新春の四日市クルーズ
いかがでしょうか。こんなショートクルーズなら、
長い休暇が取りにくい人にも乗れるかもしれません。かつては横浜や神戸発着のクルーズが多かったものですが、今は違います。ここには記しませんでしたが金沢や小樽発着のコースなどもあり。
また移動型クルーズというパターンも紹介されています。すなわち横浜から乗船し神戸で下船すれば洋上ライフ+2つの都市観光が可能というわけです。
また文中に記載した「おひとりF旅」という特典は今のところ飛鳥Ⅱオンリーのようです。
よくメンテナンスされている船内

本船は初代飛鳥の後続船として2006年に就航を開始しました。前身は旧クリスタル・ハーモニーで三菱重工の長崎造船所で建造されて1990年にデビュー。就航後に5つ星プラスを取得できたのも、
メイド・イン・ジャパンの粋が光っていたからでは?
クルーの客室も当時の客船で最大級と話題になりました。それは「クルーが幸せなら良いサービスが提供できる」という船社のポリシーがあったから。
私は2024年の世界一周クルーズで1週間だけ乗船する機会に恵まれました。毎日毎日、クルーはは写真のようにメンテナンスを欠かしません。2025年で、なんと船歴35年ですが「きちんと感」があります。これは職人芸ともいえる技ではないでしょうか。デッキについた傷も、いわば勲章です。
人も客船も元気で長生きするにはメンテナンスが
重要ですよね。飛鳥Ⅱに乗ってホッとするのは船内のハード部分だけではありません。出会ったクルーたちのソフトな気配りにも経験や積み重ねを感じるのです。
2025年5月、在英の私たち夫婦はロンドンのティルバリーに入港した本船を訪ねました。静かな船内を散策した後、リドカフェで軽食をとることに。席に着いたら直ぐウエイターの一人がニコニコしてやって来ました。以前のクルーズで会った男性です。
「これ、どーぞ」夫が必要なクッションを持参してくれました。「オー、サンキュー!」思いがけないサービスに、夫は驚いていました。フィリピン人のベテランウエイターは夫の顔とニーズを覚えていたからです。
ホテルマネージャーに聞くと彼は初代飛鳥からの長期勤務者とのこと。日本人でなくても、飛鳥Ⅱで働くクルーたちのおもてなし度は相当なものです。乗客の顔や好みを無数に覚え親切なサービスを常に提供中。こんな出会いも、多くのファンを獲得しているベテランの飛鳥Ⅱで待っているかもしれません。