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TRAVEL NOTES
クルーズ旅行記

バトラーサービス

2022.06.08
クルーズエッセイ

バトラー、日本ではなじみのない存在

クルーズのパンフレットを見ている時など、時々バトラーという言葉を目にする事があると思います。クルーズ会社によって、また客室カテゴリーによってバトラーサービスをつけています。バトラーは日本語でいうと執事。あまり日常生活では縁のない言葉ではないでしょうか。

どんなサービスをしてくれるのか、通常の客室係とどうちがうのか? 

バトラーサービスが付いている船の場合、多くが客室係に加えてバトラーが存在します。よりお客様にパーソナルなサービスを提供してくれますが、どちらに何を頼んでよいかわからない時はとりあえずどちらでも構わないので顔を合わせた時に聞いてみるのが一番良いと思います。客室係とバトラーは密に連絡を取り合っていますので安心してください。

QM2

キュナード社の船に乗っていた時、バトラーのお手伝いをする機会がありました。

バトラーの中には、日本人のお客様の考え方やお好みを知り、お国柄を意識してサービスを行いたいという研究型。「どんと任せてください。どんなお客様とでも、言葉が話せなくても満足していただきますから。」という頼もしい人もいます。バトラーに対する統一の教育はあっても現場には人それぞれの接し方があると思いました。バトラーにはこの応用力がとても大切な事だと思います。

乗船日はバトラーも大忙し

乗船日、バトラーは既に担当するお客様のお名前を空で憶え、初めての挨拶の時から名前でお客様に接します。さすがです。

大きなスーツケースが客室に運び込まれるとそれを置いておくだけではなく、中身を取り出し、ハンガーにかけワードローブに収める。勿論ご希望されたお客様に対してのみ行いますが、細かい指示が無い場合もあるのでバトラーはお客様が使いやすいように考えて収納しなければなりません。それだけでも知識と経験が必要とされます

到着してお客様はすぐランチを取りにダイニングルームに行かれ、その間に荷解きを済ませなければならない時などはスピードも要求されるバトラーたちは汗だくです。

お客様がお戻りになると何をどこに置いたか説明をすると共に、毎食前のカクテル等のお好み、お休み前の温かいお飲み物や朝のお寝覚めのコーヒーのご希望など、好みを上手に聞き出します。

ルームサービスのお茶
ルームサービスのお茶

朝も忙しい

ルームサービス
ルームサービス

ルームサービスの食事は通常はダイニングの係が客室に運び、テーブルに置いたらおしまいですがバトラーがサービスする場合はテーブルセッティングから行います。

真っ白い、アイロンがきちっとかかったテーブルクロスを敷いてカトラリー類をセット。冷たいお料理と、それに続く暖かいお料理は別々にタイミングよくテーブルにご用意します。

バトラーは一人で何室かを担当しています。複数のお客様がルームサービスを頼まれる場合もあり、特に朝早く寄港地に入り、人気のショアーエクスカーションの出発時間が早い日は多くの方がルームサービスで朝食を取られるので超が付く忙しさ。時間を守り、間違えずにきちっとサービスする、しかも涼し気な顔で。ここが大事なポイントです。やはりお客様の前では大変そうな顔は見せないんですね。

お客様のお好みをいち早く覚える

時には厳しいお客様もいらっしゃって、お皿にほんの何粒か残っていたナッツを片付けたら翌日「お気に入りのナッツを何故捨てた!」と猛烈にお叱りを受けたそうです。

またある時はクリーニングから上がってきたワンピースをワードローブにかけて置いたら、お客様に今夜着る事を伝えて出したワンピースがまだ戻ってこない!と勘違いして怒られてしまいました。バトラーとしてはお客様の負担を減らすことを考え、クリーニング用のハンガーやビニールカバーを外し、ワードローブのハンガーに付け替えてお戻ししていたのですが…。

要はお客様一人一人のお好みや、習慣、こうしてほしいというお気持ちを的確に察知、もしくは確認していく事が必要で、そうする事がより信頼関係の構築になるのだとか。しかもそれを早い時期にしなくてはならないので中々大変です。

7つ星ホテルでゴージャスなランチとひな人形

しかし大変な事だけではないそうです。

ドバイのホテル
ドバイのホテル

ドバイ入港日、お客様夫妻からランチにご招待されたそうです。船を降りると黒塗りの高級車が迎えに来ていて、帆の形をした建物が特徴的なブルジュ アル アバブホテルへ。7つ星と言われているそのホテルのレストランでゴージャスにお食事。テーブルにはお塩だけで5種類もだされ、一つ一つ塩の産地や特徴を説明してくれたと楽しそうに話してくれました。

また、別のバトラーはリピーターのお客様との会話の中で、もうすぐ娘が生まれる事をお伝えしたら、翌年のクルーズの際、日本のひな人形をプレゼントされたそうです。忘れずに、しかもわざわざ日本から持ってきてくださったお気持ち、そしてひな人形に込められた願いを知り、心から嬉しかったそうです。そのお客様は、次回のクルーズも是非自分たちの担当をしてほしいと言ってお帰りになったそうです。バトラー冥利に尽きますね。

ひな人形
ひな人形

バトラーは必要ない?

バトラーがいてもどう対応して良いかわからない、かえって気を使ってしまうので会わないほうが気楽。そんなお声を聞く事もあります。しかし私が見ている限り、いやいや中々、とても上手にバトラーを利用している日本の方もいらっしゃいます。

その中のあるご家族は、ご夫妻で、または時によっては二人のお嬢様を連れて四人で参加される事もありました。クルーズ中、客室でパーティーを企画。バトラーに料理や飲み物の相談をし、ご招待する人の中に当日お誕生日を迎える方がいると分かるとサプライズのケーキ迄ご用意していました。

お客様は特別英語が堪能というわけでもありません。伝えたいという気持ちと、お客様に喜んでもらいたいというバトラーの気持ちが上手く重なった結果だと思います。

コミュニケーションというのは言葉が出来る、出来ないの問題ではないと常々感じています。

英語ができても黙っていれば相手にはなにも伝わりません。反対に身振り手振りを加えて日本語交じりの英語でも意外と相手には伝わっているものです。ビジネスで契約の話をするわけではないので、パーフェクトでなくとも気持ちを楽に持ち心から接する事。そうする事によって相手に気持ちは通じます。

人と人との触れ合いがとても楽しく心に残るクルーズ。より多くの人と触れ合い、楽しい時を過ごしたいですね。

執筆者 | 前村あけみ
学生時代、日本の旅行会社によりチャーター運航されたYAO HUA(耀華号)に姉にお金を借りて乗船しクルーズの楽しさを知りビックリ!世の中にはこんな楽しい世界があるという事を知る。その後、その船にスタッフとして乗船勤務した後、株式会社クルーズ・バケーションに入社。プリンセス・クルーズ、キュナード・ライン、リージェント・セブンシーズ・クルーズ、P&O クルーズ、オリエント・ライン等の多くの船会社の販売に携わる。 又プリンセス・クルーズのアラスカのシーズン中にはクルーズ・コーディネーターとして乗船。 14年勤務の後フリーランスとしてプリンセスクルーズ、キュナード・ライン、セレブリティ・クルーズ、ロイヤル・カリビアン・クルーズ、ノルウェージャン・クルーズ等日本に紹介されている多くの客船にコーディネーターとして乗船。
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