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TRAVEL NOTES
クルーズ旅行記
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船内のインテリアやアートも楽しもう!

2022.07.27
クルーズエッセイ

船内で船会社や船の歴史を知る

クルーズは旅なのでつい寄港地での観光、船内生活も食事や服装などに気がいってしまうのはもちろんです。

ただ、客船も船会社によって内装にいろんな趣向を凝らしているので、航海日などは船内のインテリアやアートをめぐる時間を設けてみてはいかがでしょうか。

例えば、定期航路として大西洋横断を行っていた歴史のある船会社は、大西洋横断の黄金時代のなごりを感じる“当時のもの”を船内に飾っていることがあります。

英国船社のキュナード・ラインは先代の鐘やオーシャンライナー時代の絵画などを飾っていたり、英国王室にゆかりがあるので、エリザベス女王の肖像画など王室に関連したものを、船内探検をしながら、探してみてもいいですね。

「クイーン・エリザベス」に飾られた、英国元首相チャーチルがキュナード・ラインの船に乗った時の写真 撮影:藤原暢子
英国王室が乗船したときの写真なども「クイーン・エリザベス」の船上に 撮影:藤原暢子
「クイーン・メリー2」にあるエリザベス女王の肖像画。同船には大西洋横断時代に乗った著名人の写真が並ぶ場所も 撮影:藤原暢子
ホーランド・アメリカ・ラインの「フォーレンダム」に飾られている優美な芸術品のひとつ 撮影:藤原暢子

ホーランド・アメリカ・ラインも6万トン級の「ザーンダム」や「フォーレンダム」は“船上の博物館”と呼ばれるほど、歴史を物語る数多くのアンティークや華やかな調度品が飾られ、同社の長い歴史に思いを馳せることができます。

船社ではありませんが、ハワイ4島めぐりで人気の「プライド オブ ハワイ」には「SSアメリカ・ライブラリー」という図書室があります。多くの蔵書とともに、大西洋横断で活躍した華やかな「SSアメリカ」(1940年就航)の資料や写真などが多く飾られて、実に見応えがあります。

「プライド オブ アメリカ」(ノルウェージャンクルーズライン)のライブラリーには「SSアメリカ」の絵画や資料が展示されている 撮影:藤原暢子

オーシャンライナーの時代や船会社の歴史、背景などを知るには、このような船でさまざまな展示を見るのも、船旅の楽しみの一つかもしれません。

ラグジュアリー客船で名画を見る

「シルバー・シャドー」のエントランスまわりには美術館のような著名画家の作品が並ぶ。乗船時に見た時は小さなシャガールのクレヨン画もあり、買うことも可能だった…… 撮影:藤原暢子

ラグジュリー客船には著名な画家の絵画が船内にさりげなく飾られていることもあります。たとえば、シルバーシークルーズの「シルバー・シャドー」や「シルバー・ウィスパー」には、陸の美術館でしか見られないようなシャガールの絵画やダリの彫刻など、著名作家の作品をさりげなく飾っています。私は乗船するたびに、「美術館併設の船でクルーズができる幸せ」と思ってきました。

同社は2017年に就航した「シルバー・ミューズ」では現代アートを採用。現代アートに囲まれた「アート・カフェ」を設置したり、船内もオブジェや絵画が飾られていて、こちらも見応えがあります。気に入ったアート作品を買うことも可能です。

「シルバー・ミューズ」(シルバーシー・クルーズ)の「アート・カフェ」。モダンアートに囲まれるのもまた新鮮な気持ち 撮影:藤原暢子

リバークルーズのユニ・ワールドのリバー客船も美術館でしか見ることができないような著名画家の絵画が船内に展示されています。オーナー夫人のコレクションとのことですが、セキュリティ上、どの船にどの画家の作品というのは、伏せています。ただ、乗船して、見覚えのある画風の作品のサインを見ると本物……ということがあるかもしれません。

ユニワールドのリバー客船。航行するエリアに合わせたオーナーのコレクションが旅を盛り上げる 撮影:藤原暢子
ユニワールドの船内の廊下。一枚一枚、展示されている絵画をゆっくり眺めたい 撮影:藤原暢子

モダン・アートに溢れる新造船

スタイリッシュな内装が特徴と言われる、セレブリティクルーズ。13万トン級の新シリーズの内装には、多くの若手アーティストの作品があちこちに展示されています。

「セレブリティ・ビヨンド」(セレブリティ・クルーズ)は各所にアートが。この奥も暗闇の廊下があり、アート作品の中を通って進む 撮影:藤原暢子
何気なくバーでドリンクを飲んでいても、周囲にはさまざまなアートが 撮影:藤原暢子

船内の内装自体がおしゃれでつい見逃してしまいそうですが、現代アートの最先端をゆくアーティストたちの作品が各所に飾られており、一つひとつ見てあるくだけで1日はゆうにかかりそうな勢いです。

フランス船社のポナンも船内アートにかなりのこだわりを持っています。同社の内装は建築家兼デザイナーとして有名なフランスのジャン・フィリップ・ヌエルが全船を担当。さらに船内のアートは専門のアート・コンサルタントが入り、世界中のアーティストや工房から選んだ、よりすぐりのアートやオブジェをセレクトして配置しています。

(新造船のお披露目の時に、いきなり「あなたは日本人? このオブジェは広島にある工房からのものなのよ」と説明されたことがあり、驚いた経験があります)。

ポナンの極地船「ル・コマンダン・シャルコー」のラウンジは心地よいソファと世界中から集められたアートが 撮影:藤原暢子
同船のシガーバー。シガーやハードリカーをいただきながら、ゆっくり見たくなる作品ばかり 撮影:藤原暢子

一つひとつ掘り下げていくと、1隻の船の中でも、今注目の、さまざまなアートに触れることができるのです。

☆客船まるごと1隻がイタリアデザイン!

若い年齢層や家族連れにも人気のコスタ・クルーズですが、同社最大級であり、フラッグシップの「コスタ・スメラルダ」と2022年に就航した姉妹船の「コスタ・トスカーナ」は、温故知心というか、船内の内装、家具から椅子、カーペットなどすべてをイタリア人のデザイナーが手掛けています。

「コスタ・スメラルダ」のダイニングルーム。飾っている本を見たら、15世紀のものであったり、内装やデザインに妥協がない 撮影:藤原暢子

主張がないような絨毯であっても、周囲の椅子やテーブル、照明と絶妙に組み合わされていて、一つひとつがデザインされ、匠にまとめられていることに気が付きます。

もちろん、革新的にデザインされているところもたくさん。たとえば、イタリアの赤いリキュール、カンパリを使った「カンパリ・バー」や老舗のカフェの豆を使ったカフェ、船上で手作りされるジェラートが食べられるジェラテリアや、目の前でピザを焼いてくれるピッツェリアなど、イタリアの名物を使った美味しいものは、本場で食べているような錯覚に陥るような内装と美味しさです。

イタリアのリキュール、カンパリで色々なカクテルを作ってくれる「カンパリ・バー」も美しい瓶の色を生かしている 撮影:藤原暢子

そして、この客船の見どころは船上初のイタリアデザインの博物館「CODE(Costa Design Collection)」です。車、家具、ファッション、生活用品など、それぞれが年代別に並べられていて、デザイン大国イタリアを俯瞰することができます。

「CODE」の一部。デザイナーの哲学なども見られる。家具だけでなく、車、ファッション、実用品、パッケージなど様々なものが展示されている 撮影:藤原暢子
車のデザインも秀逸なイタリア、船と共に時代別に懐かしい車も見られる 撮影:藤原暢子

現在でも日本で見かける日常雑貨や、おしゃれなインテリアショップで売られているブランドの家具がいつ頃、イタリアで発売されたかがよく分かるのです。

我が家はカルテルという透明な椅子や時計、小物入れを使っていますが、1945年にイタリアで創設されたイタリアのデザイン会社で、その代表的な家具なども順番に展示されていました(定番の椅子などは、船内で乗客が座れるように色んな場所に置いてあります)。

見るだけでなく、公室や外のデッキに置いてあるので、知る人ぞ知る椅子などに実際に座れるのもうれしい 撮影:藤原暢子

展示だけでなく、デザイン大国と言われるイタリアでどのようなデザイナーがどのような思いでデザインをしていたかの、「デザイン哲学」なども紹介されています。

建築や車、ファッション、デザイン好きなら「CODE」を含む、船内を見て歩くだけでも、イタリアデザインに魅了されることでしょう。

主役でなくとも船内生活が豊かに

クルーズはもちろん寄港地を含めた船旅を楽しむために乗船しますが、テーブルセッティング、クルーの制服、照明やファブリックに至るまで、個性豊かな内装など、意外なところにも楽しむ要素がたくさんあります。クルーズと共に、ぜひ各客船会社が力を入れている部分を見つけて、船旅をさらに充実させてみてください。

執筆者 | 藤原暢子
長崎生まれで、父は元船医、姪は客船元乗組員という海のDNAを持つ一家。1998年に英国の客船で横浜から英国まで世界半周をし、改めて船旅の魅力に開眼。フリーの編集者からクルーズ取材、撮影、執筆の仕事を徐々に増やす。2004〜2010年、2017〜2019年と約10年間、(株)海事プレス社の客船情報誌『CRUISE』の編集長を務めつつ、さまざまな媒体で国内外のクルーズを紹介(現在は同誌プロデューサー、クルーズ・ジャーナリスト)。25年間で約120隻の客船で80カ国をめぐる。仕事以外の休暇もついクルーズへ。宝物は今まで船上や寄港地で出会った人々。
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