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TRAVEL NOTES
クルーズ旅行記
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世界一周クルーズ 6の4

2022.10.12
クルーズエッセイ

世界一周クルーズが再び話題になり予約も好調だそうです。洋上ホテルといわれる客船で数か月にもなる長旅。たとえ乗船しなくても気になりますね。

最近よく質問を受けます。「実際はどうなの?」ガイド本やネットには情報がたくさん出ていますが求められるのは「活きた声」でしょう。ありがたいことに私は英国船6隻で計8回、世界一周をさせて頂きました。区間乗船を入れると10回を超えます。

クルー又はコーディネーターという仕事だったので日本人のお客様から多くのご質問を受けてきました。この体験をこれから6回でシェアしていきたいと思います。第四回目のテーマは「パナマ運河」です。

パナマ運河の豆知識

パナマ運河
船首から水門を見下ろす 撮影:吉田あやこ

年間1万3千隻以上の船舶が通航するといわれているパナマ運河は1914年8月15日に開通しました。完成するのに10年の歳月と400億円以上を費やしたといわれています。工事の際にマラリヤや黄熱病で2万7千人以上の命も失われました。

南米大陸の南端を回らずに、大西洋から太平洋へ行けるのですから、日数もコストも削減できます。貨物船やタンカーはもちろんのこと客船もその恩恵を享受しています。約9時間もかけ通過を楽しむのは世界一周クルーズでも観光のハイライトなのです。

パナマ運河クルーズは人気があるので多くの船社が秋から春にかけてスケジュールを発表しています。3か月にもなる長い世界一周クルーズでは、親しくなった乗客と一緒に体験できるのが利点でしょう。パナマ運河のトリビアを以下に挙げてみました。

・パナマ運河 水門式、全長80キロ、1914年開通 通行料(7万6千トンの客船で2千3百万円)。

・スエズ運河との比較 水平式、全長163キロ、1869年開通、通行料はパナマ運河の約2倍。

・最初に通過した日本船籍船は日本郵船の「徳島丸」。

・パナマックス(同運河を通過できる最大サイズ)

パナマ+マックスの造語。水門のサイズは幅32.3m、長さ294.1m、水深12m。客船の全幅にギリギリの32mが多いのはこのため。

・2016年6月拡張された新パナマ運河開通。より大きな船舶が通過できる第三レーン完成。

水門は幅55m、 長さ427m、 水深18.3mで最初は日本船籍の大型LPガス船で、2018年5月には約16万8千トンの客船も通行。

・浮力を利用して「水の階段」で上下する

中央に100mの山があるため、大西洋から太平洋へ行くにはまず「上り」、のちに「下る」。

・水門では3台の牽引車(ミュール)が活躍。

船を引き上げ、正しい位置に入れるために使われる。三菱重工製で一台約6千万円。

・通過中は英語ガイドの船内放送あり。

日本人クルーやコーディネーター、添乗員が乗船時には日本語による情報提供があることも。

どんな一日になるか

運河の断面図(パナマ運河委員会発行の地図)
左が大西洋側、右が太平洋側 撮影:吉田あやこ

運河の通過は実際どのように始まるのでしょうか。かつて英国船にコーディネーターとして乗船した時に、私が訳した船内新聞を以下に記載してみます。時間はあくまで予定ですが、一日の流れが分ります。

6:00am 大西洋側クリストバル到着。水先人乗船。(夜明け前から、船首などの「場所取り」も)

7:40am①ガツン水門到着。3段階の水門を合計25.5m上昇。通過最大のハイライト。

9:30amガツン水門の通過終了。(ここで多くの乗客は朝食を摂ります)

お昼頃 中間地点ガンボアに到着。(バーガーやサラダの軽食ランチが人気です)

2:00pm②ペドロ・ミゲル水門に到着。9.3m下降。

2:45pmペドロ・ミゲル水門の通過終了。

3:10pm③ミラ・フローレンス水門に到着。16.2m下降し、太平洋と同じ水位に。

4.20pmミラ・フローレンス水門の通過終了。アメリカス橋をくぐる。

まる一日となる運河通過の見学、お疲れ様ですが満足度は計り知れません。シャワーを浴びディナーへ行けば、どのテーブルでも話題はこの日の体験になるでしょう。

世界一周クルーズの思い出に

地図(日本語)
できれば日本語版を入手 撮影:吉田あやこ

船内を自由に移動でき、無料で「終日観光」を楽しめるのはパナマ運河通過日だけかもしれません。準備や見学のポイント、注意などを挙げてみます。

パナマ運河委員会発行の日本語地図

日本語版は写真の通りです。同委員会では英語のほか、多言語を用意しているので事前にリクエストすれば運河通過前に届きます。

外国船ならば日本人スタッフやレセプションへ早めに依頼を。日本語版が10部必要、などという情報を現地エージェントに連絡してもらうのです。英語版がキャビンに届くので比較して英語の船内放送を聞けば役立ちます。(新型コロナ以前の情報です)

「パナマ帽」や焼け止めは必須

スチームサウナのような湿気と強い日射しが有名です。よって帽子やサングラス、ジェル等で紫外線対策をしましょう。お奨めは、あちこち動き回る事。

船首だけではなく、船尾やデッキも歩き、ときどき船内に入り冷房の恩恵を受けて休むのもお奨めです。

動物ウオッチング

船が水門の間を移動する時やガツン湖周辺を航行時に、パナマらしい動物に遭遇することがあります。ワニ、ペリカン、鳥、カラフルな蝶など。船内放送や「あそこに見えるわ!」という周囲の声にも注意しましょう。大きな蝶や野鳥がデッキに乗って来てしばらく滞在することも。

世界一周クルーズ者の専用ラウンジ

船によっては、船内の上層デッキに専用コーナーを設けてくれます。コーヒーなどのソフトドリンクや、サンドイッチなどの軽食を用意してくれるので全区間乗船ならば利用する価値があるでしょう。

執筆者 | 吉田 あやこ
クイーンエリザベス2世号と初代飛鳥元クルー、現職はクルーズアンバサダー。
クルーズバケーション社のコーディネーターを経て現職。英国在住28年。
クルーズガイド取材アシスタントなどを含め、世界の客船約100隻に33年の乗船経験あり。
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